内実コンブリオ



ほら、言うまでもない。

遅刻した。

昨日のあの夜から、朝になったことに全く気づかなかった。

これが言い訳だった。

が、通用するわけもなく、班長に自分が頭を下げる風景を皆、見て見ぬフリでやり過ごす。

うちの班長は優しい方であるため「珍しいなー。まあ、次からは気をつけて」と一言で済ませてくださった。

その優しい口調に、逆にうたぐり深くなってしまったけれど。

説教なしに簡単に解放してもらえたものの、やはり多少の罪悪感は残る。

性格上、遅刻の罪悪感を引きずり、密かに憂鬱な気分で午前中を送った。






昼時。さあ、どこで昼食をとろうか、と自分は一人そわそわとしていた。

弁当を抱えたままで何となく、窓際へ寄る。

非常にいい天気だ。

見た目は暖かそうだが、外のベンチへと出ればきっと、冬の様な冷たい風が強く吹くのだろう。

思わずその場で身震いしたはずが、不思議と好奇心の方がどうしても勝ってしまった。

出口に向かう途中で、森緒ちゃんの声がした。



「はなー!外でご飯食べよー!!」



今、まさにそう思っていたところだ。
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