内実コンブリオ
さらに時を進めたある日。
関係無いけど、さっきから進め過ぎだろ。
俺はウィザード(魔法使い)か、と思う。
とりあえず、あと2週間くらいで夏休みが始まるというところまでやってきた。
ここにくるまでもかなり苦難だった。
だが、話してもくだらないし、きりが無いので、省略させてもらう。
ちなみに俺の今の心境。
暑い、とにかく暑い。
なんせ夏休みに入ろうと梅雨で助走をつけていた季節が加速をはじめて、夏に飛び込もうとしているんだ。
暑くないわけがない。
もう汗っかきには、堪ったもんじゃない。
壁に設置された扇風機の風が届かない位置にいる俺が、暑さに耐えかねていると、今日一番の担任のお出ましだ。
1限目は総合。
一般的にいうと、LHR(ロングホームルーム)だろうか。
そこで俺にとって嬉しいことに、女神が舞い降りる。
席替えが行われた。
3ヶ月ずっと出席順だったから、他の奴らにとってもきっと嬉しいことだろう。
さらに俺は、にやけている。
え、何?気持ち悪いからやめてくれって?すいません。もともとこうゆう顔なんで、無理ですー。
何があったかというと、席が咲宮 華さんの真後ろ!
しかも、窓際だし、むっちゃ最高!!
寝れる!!
これ以上にない、いい席だ。
何だか、咲宮 華さんの髪からか、ほのかにいい香りもするし。
やばいな。
俺は、完全変態になりかけている。
もちろんいい事はこの日だけにあったという訳ではなく、この席になると、毎日いい事がある。
というより、毎日いい気分だ。
あいつがこっちに来ない限りは。
夏休みまであと2日、というある日の3限目。英語の時間だ。
英語、苦手なんだよな。
しかも、対話の英文を読めだと。
純日本男児の俺には生まれ故郷の方言さえあれば、十分や!
しかも、1人じゃなくて、前後の席でペア組んでやれだと?
ほんっとにくだらねぇ。
…え?前後…?
て、ことは咲宮 華さんと…?!
や、やります!やりますとも!!まかせてください!!この栗山芳樹、咲宮 華さんを1人にするなんざ、そんな、もったいないこと、とても出来たもんじゃあございやせん!
ついに俺もキャラ崩壊の時期が到来したらしい。
もう嬉しすぎて、何がなんだか。
この時、俺は余りにも隙だらけだったことを自分の事なのに、気づいていなかった。