内実コンブリオ
とにかく、これは授業だしな!
ちゃんとやらねーと。
とりあえず、一声かけてみる。
いつも通り無視されることを覚悟して。
「あ、咲宮さん!俺とやりませんか!!」
…やっぱり、駄目か。
そう思った瞬間だった。
咲宮 華さんは、ゆっくりと振り向いてくれた。
今まで一度も無いことだったから、思わず俺の方が、固まってしまった。
まさか応えてくれるとは。
思いっきり朱色に染めた顔を見せてくれた。
さらに今回は豪華なおまけ付き。
「…ん」
そう聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、さらに答えてくれまでした。
やっぱりかわいいじゃないか。
日々睨むのは、いわゆるツンデレ。
見た目は大人びているのに、中身は案外少女。
「えと、じゃあ、俺が先でいいっすか?ジャックの役します」
「…はい」
「えと…Keep your eyes ク…closed.Do you トトッtrust me?」
「I trust you.」
「あー、All right………オ…
Open your eyes!」
「ふふっ」
何故か俺は咲宮 華さんにクスクスと笑われている。
「あ、ごめんなさい。I'm flying Jack!クスクス…」
「どーしたっすか?」
俺、何か変だったか?
笑われている意味が全くわからない。
「いや、なんかすごく情が入ってらっしゃるなと思って…」
「あ、あはははは」
やっちまった。
ちょいと浮かれすぎた。
なんて有名な映画作品の感動的なワンシーンを対話して、英語嫌いな俺でも、この時間を楽しめてしまった。
やっぱり愛の力はすごいぜ。
そして、俺は完全に浮かれすぎた。
あいつらの目にあんなに監視されていたのに、気づかなかった俺は、馬鹿だ。