内実コンブリオ
再会っていうものは、泣ける程嬉しいものなんだと思っていた。
実際は、嬉しさよりも驚きが勝っている。
何か怖いものを見た様な感覚だ。
数十秒程だろうか。
2人して動けなくなっていた。
そんな中、先に動いたのは栗山くんだった。
「…っ、本物ですか?」
栗山くんは真顔で、そんなことを言った。
わざと的を外してみせたのか、それとも、思いがけず口から出てしまったのか。
そんなことは、よくわからないが、きっと自分は本物なはず。
栗山くんこそ、本当の本当に本物?
間抜けにも、栗山くんと同じことを聞き返しそうになった。
いつまで経っても、驚きから抜け出せなくなっている自分たちに、少し面白可笑しさが込み上げてくる。
思わず、笑いそうになったのを堪え、彼の「本物か?」という問いにようやく答えた。
「一応、本物です。…お元気でしたか?」
「はいっ、元気!この通りです」
呑気な返しをしてしまったというのに、さらに真面目に返してくれた。
相変わらず、その優しさがぐっ、とくる。
中学生の頃、まともな会話したのなんて、栗山くんだけの様なものだ。
しかし中学時代、最後に交わした会話は、あまり良いやり取りではなかった。
それなのに、ある程度は話せる様になっている。