内実コンブリオ
「で、今は何の時間?」
「準備をする時間かと…」
先輩が話しかけてくださったおかげで、時間が元の正常な流れに戻った気がした。
それまで、止まっていた様な、ゆっくりになっていた様な不思議な空間の中に居た。
ゆめ…かもしれない。
しかし、ふわふわではない。
落ち着かない感じ。
そう、そわそわだ。
そのそわそわに少しばかり解放されて、現実に引き戻される。
「そう言えば、角野先輩。ご自分でおっしゃった集合時間は、何時でしたっけ?」
「やから、ごめんって!!おはようよりも先に謝ったやん!ごめんって!!」
自分が多分、微笑みながら言うと、顔の前で両手を合わせ、汗だくで必死な様子だ。
別に待たされたからといって、そこまでこだわるつもりは、自分もない。
しかし、3、40分程、待っていたのだから、少しくらい言ったって、バチは当たらないだろう。
あとちょっとすれば、大学の講義が始まる。
発表をするにも、いろんな事情が自分の中で混ざり合い、緊張の度合いが増していった。