内実コンブリオ
「ふぅ、お疲れ様です」
今の自分は緊張も解け、元々座っていた席にいる状態だ。
あとは、他社の発表を聞いていれば良いだけ。
これほど、気楽なことはない。
そう、自分たちの発表の番は、もう終わった。
それこそ壇上でのことは、ほとんど真っ白で覚えていない。
何だかんだ言っても舞台に立ったら、腹をくくり、口を動かし始めれば、あとはただ、あっという間に終わってしまった。
しかし、緊張のあまり、噛みまくってしまって、まるでDJのスクラッチの様になってしまった部分については、何故かよく覚えている。
とても恥ずかしいったらなかった。
気付けば、あまりの恥ずかしさに自分の目線は、膝にまで下がっていた。
壇上の発表者に目線を戻す。
今、前で話しているのは、栗山くん。
その表情は普通である様に見えるが…いや、少し顔色が悪くも見える。
「まあ…あの、皆さんも買い物する時とか、わかると思うんですけど…」
様子も先程ここで話していた時と、全く違う。
栗山くんでも人前って緊張したりするんだ、そんな風に意外に感じ、少し驚いていた。