内実コンブリオ




「4社の方々から、ご説明いただきました。ありがとうございます。アンケート用紙等は―」



この講義を仕切っている先生の台詞を合図に、学生たちは席を立ち上がる。

今日、ここでやるべき自分たちの仕事は、これで終わりだ。

身の回りを片付け「さあ、会社に向かいましょう」と角野先輩に声をかけよう、と隣を振り返ったが、先輩の姿はそこには無かった。

周りを見渡すと、いつの間にやら遠くの方まで行っており、顔見知りや教授たちと会話している。

仕方なく、先輩を待つことにした。

教室の外で待とうと思い、扉を開けると、足元からひんやりと冷気が流れ込む。

そして、目の前には、おそらく反対側から扉を開けようとしていたであろう、栗山くんがいた。

何だか、外に出る気が一気に失せてしまった。

そもそも12月真っ只中に、冷蔵庫の様な廊下でじっとしていよう、なんて考えた自分は馬鹿だったのかもしれない。
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