内実コンブリオ
どうやら、これから俺の色恋沙汰を話さなければならんらしい。
もし良かったら、聞いてもらえますか。
その前に、まだ名乗ってなかったっすね。
どうも、栗山芳樹です。
まず俺、栗山は天川中学校という一応進学校に通っていた。
自分で言うのも何だが、男女問わず友達がかなり多い方だったと思う。
クラス、いや学年、さらには先生や学校の中でも結構人気があった。
だから、正直何かと自信があったわけで。
それなのに、勝手に集まったメンバーで勝手な同盟なんかをつくり上げてしまった。
なんで、あんな事した?
なんで、あんな苦しませてしまった?
「後悔先に立たず」てのは、まさにこんな状況の事を言うんだろうな、まったく。
今更気づくなんてな。
事の始まりは、ある年の1学期頃だったか?
あの頃の俺はよっぽどガキだったらしい。
事の始まりは、中学1年生の5月のある日―
ここから、全ての歯車の動き方が決まった。
何も大袈裟に言っているわけじゃない。
事実なんだよ。
今日の5・6限目は、体育祭の練習だった。
初めての大きな行事だったから、周りのクラスの奴らもそわそわしていた。
ほぼ真上にいる日差しが俺たちの気を急かす。
何てったって、普通のかったるい授業を受けるよりゃ、練習のが楽しいに決まってんだろ。
そんな事を思いながら、友達とはしゃいでいたら、何となく目にとまった奴がいた。
そいつは、1人で浮かない顔なんてして。
こんな楽しい行事練習に、なんて罰当たりな奴。
体育祭以外に気持ちが高ぶる行事なんてないだろ。
でも、そいつがそんな死んだ魚の様な面してた理由なんて練習が始まりゃ、すぐわかったんだ。