内実コンブリオ
「お疲れ様でしたっ!お先に失礼します!!」
勢い良く自分の部署を飛び出し、たった今は、自分なりに全力疾走していた。
やっと本日の業務を済ませたはいいのだが、時間に問題がある。
少し長引いてしまったのだ。
今日の今日に限って、他の仕事を押し付けられ、ミスをして…
散々だった。
しかも、この後には、さらに重要な任務が待っている。
栗山くんと会う、という任務が。
「咲宮さん、お疲れ様ー」
「あ、お疲れ様ですっ」
「きゃっ」
挨拶をしてよそ見をしてしまったがために、女性社員さんとぶつかってしまった。
「わ、ご、ごめんなさいっ」
自分は慌てて、その場で何度も頭を下げる。
相手の女性が、寛大な心の持ち主で本当に良かった。
いえいえ、と微笑みを浮かべ、見逃してくれたのだ。
ホッと息を漏らす。
そして、今、自分が何故急いでいたのかを思い出す。
つい先程の出来事を教訓に今度は、はや歩きを心掛けた。
再び、職員専用出入り口を目指した。