内実コンブリオ
そのまま、はや足を続け、やっと会社の最寄駅へと到着した。
駅前のロータリーは、みんなの帰宅時間と重なり、ひどく混雑している。
駅前の時計は、約束の時刻を7分過ぎていた。
慌て気味に、自分はきょろきょろと辺りを見回した。
すると、既にロータリーに何台かが止まっている。
そのうちの一台の黒い軽自動車の前に、スーツ姿の男性がこちらに向かってだろうか、大きく手を振っている。
あれは、自分に向けているのか?
試しに、恥ずかしくない程度の会釈をしてみる。
その手を振る相手から、会釈を返された。
ああ、間違いない。
あれが、あの人だ。