内実コンブリオ
どんどんどんどん顔が熱くなる。
体温が上昇していく。
とにかく前と同じく、冷静を装う準備をしつつ、駆け寄った。
「遅くなりました。すみません」
「いや、全然大丈夫っすよ。まあ、どうぞ」
そう言って、栗山くんは助手席へと促す。
座席についてからというものの、自分のうるさく、騒がしい鼓動は当然、おさまってくれそうもなかった。
車が動き出してからも、しばらくは恥ずかしさのあまり、自分の首から上は、左ばかりを見ていた。
流れていく、よく見知った街の景色に、集中していたかった。
「…まさか、本当に連絡くれるとは思ってなかったんで…
今、どうしたらいのかとか、正直、わかんないっす」
呆気なく、自分の集中は途切れさせられ「自分もです」なんて、軽く答えておいた。
お互いが半信半疑だったんだ、なんてくだらないことを考えながら。