内実コンブリオ
帰路につく電車に、揺られていた。
今日、夕方から夜11時頃までの出来事を、静かに思い返す。
今日の充実した1日といったら!
思い出すだけで、まだワクワクが続いているせいか、顔がにやつく。
何度でも、あれらの嬉しい出来事を思い出していた。
テーブルにようやく届いた豚骨ラーメンの味は、濃厚で、かなりの美味だった。
初めて行ったお店、というのもあったかもしれないけど。
食べたことのない何だか、今まで食べたことのない様な気がして、美味しいを連呼し続けていた。
そんな自分を見て、栗山くんはまた笑っていた。
自分が美味しいを連呼する度に、栗山くんも「やろ!」と繰り返す。
そのやり取りにも、味にも、とにかく自分は満足している様だった。
でも、今日の中に心残りが一つ。
あのことを結局、聞けなかった。
栗山くんに、彼女が現在進行形で居るのか。
もっと掘り下げれば、自分にとって、幼稚園からの幼馴染み「結菜ちゃん」とはまだ続いているのか。
今日はそれだけを聞くつもりで、誘いに乗ったというのに。
結局、タイミングを逃し、聞きそびれてしまった。
何をしているんだ、自分は。
これでは、何をしに行ったのか、わからない。