内実コンブリオ
まあ、自分の予想では、もう二人はとっくの昔に別れていると思う。
または、自然消滅か。
その答えは自分にとっては、もう当たり前の結果となって、それ以外は思い付きも出来ない。
そもそも、こんなことは、そこまで重要ではない気がする。
ともかく二人がまだ一緒にいる、という考えは、自分の頭の中では0%だ。
あれだけ優しくて、気さくな人だから、逆に彼女がいないことの方が0%かもしれない。
それで、もし居なかったとしたら?
…別に、どうもしない。
自分は臆病者だから、それこそ今日みたいに何もせずに終わる。
これも中学時代と、何も変わっていないのだろうか。
電車に揺られながら、虚ろな自身の頭に問う。
やんわりと、眠気が邪魔をする。
それに鬱陶しく感じ、眠気を覚まそうと、鞄から水筒を引きずり出した。
ほんのり、温いお茶を一口、喉に通す。
蓋を閉めながら、また考える。
もしものことがあった時、自分は何もしようとせず、終わるのだろうか。
少し考えて、ハッとした。
答えが出た。
何もせずに終わる、だなんて一体どの口が言っているのか。
中学時代、自分はあの人を傷つけて、終わった。
何もしていないわけがなかった。
あれだけ酷いことをしておいて、何故忘れていたのか。
過去の確かな事実がありながら、のうのうと栗山くんに会いに行ったりなんかして。
そもそも、会って良かったのか?
ほら、またお決まりの自己嫌悪が始まった。
温いお茶で振り払ったはずの眠気が、未だに漂っている。
今日はただただ、全てが夢物語の様で。
もう諦めて、このまま目を閉じてしまおう。
そうすれば、自宅まで、知らぬ間に着いているはずだから。
過去の罪悪感は一度忘れて、たった今は、現在すらも後回しにしてしまいたい。
第3章*第9話へ続く。