内実コンブリオ
「聞いてもらえやん?」
「い、いいよ!もちろん!!聞くよ…!」
「あは、変な華」
森緒ちゃんは、そう言って笑ってくれた。
しかし、それはいつものものではなく、明らかに無理をしているようだった。
こんな時に不謹慎かもしれないが、自分なんかに相談事を持ちかけようとしてくれていた森緒ちゃんに、とても嬉しく想っている。
その気持ちが先走ってか、先程の返事も声が上擦ってしまった。
さらには、別に意識をしたわけでもないのに、角野先輩と同じ調子の言葉を言ってしまった。
「もちろん!!」だなんて、完全に無意識だ。
自分が相談をする決意をした時、角野先輩もこんな気持ちだったのだろうか。
人は相談事を持ちかけられた時、こんな気持ちになるのだろうか。
「あのなー」と一つ溢した森緒ちゃんの口からは、次の言葉がなかなか出てこない。
よほど、自身で辛く感じているのだろう。
「ゆっくりで、いいよ」
自分がそう言うと、森緒ちゃんは小さく頷いた。
その目に涙が溜まっている。