内実コンブリオ





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意味もなく、突然に背筋がゾクッとした。

思わず、椅子の背もたれにかけていた、上着に腕を通さずに羽織る。

そして、ある場所に目をやった。

顔を上げて、真っ直ぐ見た先に2人の人物らが、賑やかに言い合っている。

誰かなんて、もちろん、あの2人しか居ない。

角野先輩に迫り寄る森緒ちゃんの姿が、ここからよく見える。

例の疑問について、話しているのだろうか。



『こういう時、男の人って、どうなんやろ。女と同じで淋しいんかな?』



書庫の中で森緒ちゃんが自分に相談してくれた時、このようなことを言っていた。

それを一体、どのように角野先輩に尋ねたのだろう。

やっぱり森緒ちゃんはすごい、と思う。

友人が自分には無い才能を持っている、という当たり前の事実に小さく嫉妬していた。

いや、嫉妬と云うには、かなり語弊があるかもしれない。

そんなに重いものではない。

そこは決して、誤解されたくはない。

いつも積極的に動けない自分へのもどかしさや情けなさ、自分自身への惨めな思いからくるものだ。

内心の自分は、いつまでも意地汚い。
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