内実コンブリオ
「そっ、そんなことないですよ…?」
「ほんまに?はじめの時から結構、恐がられとるような気がしとったけど」
「そ、そんなこと…」
どうしよう。
声を出すことが、僅かに辛くなってきた。
無意識に自分が、一歩下がる。
何故だろう、自分も不思議に思っていた。
「なーんか、いっつも怖そうな顔しとるよんなぁ」
また自分の足が、一歩下がっている。
それなのに、先輩との距離が変わらない。
「もしかして、いつも気ぃ遣ってもらってる?正直に言ってもらっていいんやで」
「いえ。気ぃなんて遣ってませんし、別に、正直に言っても…」
また、足が一歩下がる。
そして「怖がってません」とあとは言うだけだった。
が、背中が何かで行き止まる。
そっちに意識がいき、言葉が途切れた。