内実コンブリオ
前方の景色を、ひたすら見つめる。
ところで、何処へ向かおうとしているのだろうか。
自分は彼の家が、どのへんに在るのかなんて、知らない。
当然のことだ。
その時、メール時とは違う、非常に短い着信音のようなものが鳴る。
「そうそう。一応、昨日の夜と家出る前に、連絡取っとったん」
しばらく車を走らせ、偶然、信号に捕まった。
先程まで、スムーズに来ており、ようやく止まったところで、森緒ちゃんはスマートフォンを弄る。
何か文章を打っているようだったので、自分はその間、じっと大人しくしていた。
そして、パカパカと点滅し始めた、歩行者信号を見つめる。
「『はーい』やって」
「…余計なお世話かもしれやんけど、やっぱり、それって、もう仲直りしとるんちゃうの?」
「どうなんやろなぁ。そのへんモヤモヤするから直接、会いに行きたいの!」