内実コンブリオ
いとこのお姉さんも帰って、ぐったり遊び疲れた翌日の暑苦しい午前10時。
電話の弾けそうなくらい元気なベルが鳴り響く。
「華ちゃん、今日うち来る?」
「ええの?!行く!」
もちろん、即答。
行かないわけがない。
「ばあちゃんが手料理ふるいたいって、言っとんのやけど」
電話の声の主は、おばさん。
正しくは、お母さんの妹さん。
更に詳しく、名前は幸子さん。
だから、自分はものごころ付いた頃から、「ゆきちゃん」と、呼んでいる。
「わかっとるやろうけど、泊まるよんなぁ?」
「ええの?!」
自分のテンションは上がりっぱなしで、お母さんの実家へ向かう。
午後2時。
「こんにちは」
「いらっしゃい、待っとったで!」
「お邪魔しまーす」
部屋に入れば、後は大人の話し。
お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんもゆきちゃんもみんなは笑ってるけど、自分は聞いていても、話しが難しくわからない。
わからないので、一人折り紙を折っていた。
「華ちゃん、学校はどうや?」
「うーん。…いろいろあるけど、楽しいよ。本当にいろいろやけど…」
自分は学校の事を言われるのは、あまり好かない。
聞かれると、胸のあたりが何だかモヤッとするから。
「そっか…。話したいと思う事は話して。嫌やったら、無理せんでええでな」
優しくそう言ってくれたゆきちゃんは、ニッコリと微笑んだ。
「明日、どっか行こか。どこに行くか考えといてぇ?」
「うん、ありがとう」