内実コンブリオ
もし、自分が助手席に座り、この彼にじっと後ろから睨まれたらと思うと、あまりの緊張感に酔ってしまいそうだったからだ。
後ろに座っている、今の時点でも既に、少し酔いかけている。
普段、基本は無言の自分でも、この類の無言は辛い。
気まず過ぎる。
目的地のファミリーレストランの駐車場に車を停めて、ドアを開けると、空気がとても美味しく感じた。
思わず、二人にはバレないように深呼吸をする。
そして、ファミリーレストランの中へと、足を踏み入れた。
実はこの時、この後、必然的に始まるであろう気まずい雰囲気を想像しては、耐えられなくなっていた。
でも、ついて来てしまったからには、耐えなくてはならない。
それに、二人が良い感じになれば、自分はお役御免となる。
そうすれば、帰ることが出来るのだ。
うん、頑張ろう。
きっとこの場で、自分に出来ることなど、ほとんど無い。
きっと最初から、自分はお邪魔虫であったはずだ。
森緒ちゃんとその彼氏さん、二人ならきっと上手くいくと信じている。