内実コンブリオ
自分は何かしらを言って、この状況を回避しようとした。



「じゃあ、自分は何にしようかなー」



が、それも空しく、見事にスルーされる。

棒読みがいけなかっただろうか。



「ご心配なく。全員分、私が払いますから!」

「い、いや!さすがに自分は自分で―

「いいの、いいの!」

「でも…」

「華は黙って奢られて!問題はあんたや!」



彼氏さんの分はわかるが、自分まで奢ってもらっては申し訳ない。

こればかりは演技などではなく、本気で戸惑う。

体が勝手に、慌てている様な動きをする。

そんなことをしている間も、ずっと彼の視線、表情が何気に気になっていた。

なぜなら、刺さるような痛みを感じていたから。

実際に、何かが刺さっているわけでは、決してない。

感覚的に、そんな気がしていただけだ。

視線が突き刺さっていただけ。

気まずいったら、ありゃしない。

その時、彼が小さく鼻で笑った。

何を言われるのだろう。

少し自分の体が、強張った。
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