内実コンブリオ
「天気も良いし、よかったなぁ!」
「うん!ええ景色やぁ」
自分とゆきちゃんが約2時間もかけて車で移動し、久しぶりに地に足をつけたのは、日本のお城。
しっかりとした名前は出せないので、ヒントを言うと忍者の国のお城。
ここへはよくと言っていい程来る。
お城の素材はとても素敵。木の古さに味があって、何ともいえない。
しっかりとしていて、厚みのある階段も足をのせて上り下りすれば、ギシギシといい音が鳴る。
それらをぬけると、絶景が待っている。
忍者の国を一望することができる。
本当に素晴らしい。
2人で最上階からの景色と空気を堪能していると、ゆきちゃんがぽつりと呟いた。
「やっぱり人間なんやったら、広くて、強いのがええなぁ」
「え?」
「んー、なんか心が大事やんな、人間って。日本って緑多いやん。自然というか。それやのに、日本人って取り繕い過ぎな気がするんよな」
自分はゆきちゃんが急に話しはじめた内容が理解出来ずにいた。
そうだね。とは、全く思わず、何だか最後まで聞きたくなって、しばらく黙ってみる。
「このお城もさ、きっと何回か壊れて、壊されて。で、それからまたみんなで直しての繰り返しで。この国も護られてきてさ。なんか人間と一緒やね」
ゆきちゃんは、微笑んだ様な表情でこっちを見てくれたけど、自分は何故急にそんな事を言い出したのかわからなかった。