内実コンブリオ
しばらくして、改札から出てきた人たちは、ほとんどが恋人同士のようで二人一組、手を繋いで自分の目前を通過して行く。
どうやら学生同士が多いらしく、どこかへ遊びに行った、その帰りなのだろう。
通過して行くどの人たちも、満足に満ち溢れた表情をしている。
森緒ちゃんたちは、今頃どうしているのだろう。
無責任かもしれないが、上手くいっていてほしい。
詳しいことは、次に出勤した時に聞かせてもらおう。
いろんな考えを巡らせていた時だった。
「華さん、ごめんっ」
電車から降りたであろう人たちが行き交う中で、声をかけられた。
そっと見上げると、そこには栗山くんが居た。
心の準備をしていなかったため、しばらく放心状態のままで、彼を見つめる。
自分が見つめている間にも、彼は手を合わせて謝ったり、自分の意識を確認するために、手をヒラヒラさせたりしていた。