内実コンブリオ



それぞれのペースで飲み進め、栗山くんはたれ味の焼き鳥を頬張っている。

生ビールの2杯を既に呑み干し、次の飲み物を考えていた。

自分はと言うと、未だ1杯目のサワーを手元に置いていた。

それはもうすでに、氷だけとなっている。

熱いな、なんて思いながら、自身の冷たい手を火照る頬に添えた。



「次は何飲む?」



栗山くんの不意打ちに驚いていれば、いつの間にやら店員さんが登場する。



「俺は一旦、烏龍茶。華さんは?」

「えー…っと、か、カシスオレンジで」



注文を控えた店員さんが、退散していく。

休日にも関わらず、意外にも賑わいを見せる居酒屋さんの店内。

普段、居酒屋さんにはそもそも来ないから、よくわからないけど。

でも、よくよく考えてみれば、今は忘年会シーズンか、なんて思考を巡らせてみる。



「あ…」



そういえば、栗山くんとあまり会話をしていないことに今更、気づいてしまった。

ずっと目の前に居たのに。
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