内実コンブリオ
「華は?好い人おらんの?ずっと独身を貫くつもり?」
「それは嫌だけど…」
話の焦点はいつの間にやら、森緒ちゃんから自分の人生相談へと変わっていた。
決して、自分が望んだわけではない。
「華のどんな人がタイプなんやろなー。じゃあ、究極の選択!職場でしか、相手を選べやんとしたら、誰?」
「えー…うーん…年齢的に言えば、角野先輩かなぁ」
「えー?!角野さん?もっと若いのおるやん!」
「いや、なんか年が近すぎると緊張して、上手く話せやんくて…」
「あー、華っぽい。それに角野さん、よく喋るもんな」
「そうそう。自分がこんなんやから、たくさん話してくれる人が良いかな、って」
あと、明るく笑ってくれる人。
信頼して、甘えてくれる人。
しっかり叱ってくれる人。
あとは…って、ほら、まだまだ出てくる。
注文を付け出したら、キリが無いから。
その注文全てに当てはまる人が居たとしたら、それはよっぽど、本当の自分を信じてくれる人しか有り得ない。
でも、それは元々、有り得ないことなんだと、わかっている。
だって「信じる」なんていうことは、時間をかけなきゃできないことだから。
なんて、それを育む時間を持つどころか、スタートラインにすら怖じ気づいて立てない自分が、持てる理想なんかじゃない。