内実コンブリオ
1月初旬―
たった今は、学生時代の通学路を、自分の手で運転する車で走っている。
昔は、自転車を全力で漕いでいたのに。
今は、ちゃんと働くことができて、職場も充実している。
昔は、勉強も人間関係も、全てが嫌になっていたのに。
今と昔でこんなに、自分が変わった。
だけど、この田んぼ道の風景は、何一つ変わらない。
それに、憎らしくも感じた。
「ただいまー」
「おう。帰って来たか」
「おかえり。あんた、また帰って来たん?」
「何や、それ。今日はいつもと違って、一泊させてもらうって言ったやん」
「冗談やって。ちゃんと布団干しといたよ」
「ごめん。ありがとう」
実家に着けば、母と祖父が居た。
父は田畑に出ているらしい。