内実コンブリオ
始業式から何日か過ぎて、もう普通の授業に入っているって頃。
いつもの通りよ。
階段を歩けば、背中を押されて。
廊下を歩けば、道をあけられて。
どいつもこいつも指をさして笑う。
教室で先生に呼ばれてプリントを受け取りにいこうと前に向かって歩いていけば、日替わりの人物が足をかけてくる。
もうどれもこれも自分にとっては日常になっていた。
体と頭が慣れてしまっていた。
ああ、これが自分の当たり前か。
絶望にも似たものに視界を塞がれ、何となく3限目が終わっていたことに気付く。
さてと、いつもの本をひろげるか。
あー、お腹すいた。
そういえば、言ったか言っていないか忘れてしまったけど、実は自分、本をひろげているだけで読んではいないのです!
じゃあ何をやっているのかって?
周りの人間たちを見ている。
いわゆる人間観察ってやつね。
なかなか面白いわ。
うちのクラスは上手いこと個性的な人たちが集まっているんだもの。
せめて、もっと別のことをやれって言われても、話す相手なんてこの学校、空間にはいないし。
寝たりしたらいたずらされるに決まってるし。
観察するのが一番退屈しのぎになる。
今日も話せない分、いっぱい見よう。