内実コンブリオ
せっかく決心したのだから、今、動かないと。
きっと身動きが、取れなくなってしまう。
決心が、鈍る。
6時半に起床して直ぐ、自分はアパートの自室のカーテンに手をかけた。
「わあ…」
窓の外には白い雪の精がチラホラと、ちらついていた。
この長年かけて、ようやくついた決心を鈍らせるように。
本当に意地悪だ。
躊躇ってしまいたくなる。
今日は栗山くんと、午前中から会う日。
偶然、二人の休みの日が合ったのだ。
自分から誘った。
自分にとっては、一生にあるかないかというくらいの決心。
これで駄目だったらば、どうしようか。
深呼吸をゆっくり、ゆっくりと繰り返した。
顔を洗おうと、洗面所に向かう。
鏡の前に立った。
まだ何をしたというわけでもないのに、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
朝から、こんなことじゃ駄目だ。
きっと一日も、もたない。
気合を入れるために、顔に水を勢いよくあてた。
あまりの冷たさに身震いをする。
それを修行だと思い、耐える。
そうしていれば、痺れるほどの冷たさは、いつの間にやら慣れてしまって、何とも思わなくなってしまった。
気になる対象は水の冷たさなんかよりも、足元を濡らした水の鬱陶しさに変わっていった。