内実コンブリオ
朝食をとって家事を済ませ、少し息を吐いたら、昨夜、遅くまで悩んだ服を着て、そのうちに家を出てしまおう。
そう考えた。
もう何も、深く考えなくてもいいように。
外は太陽が照っていても、少し冷える。
今回の待ち合わせ場所も、また駅。
しかし「また」とは言っても、会社とは逆方向に4つ向こうの違う駅だ。
いつもの朝より少し遅い時間のホームは、人がわりと多くいる。
電車に乗り込んでからも、人は相変わらず多かった。
吊革に掴ってふらつかないよう努めても、後ろの人のリュックか何かが背中に、不規則に当たっている。
目的の駅について、扉が開く。
それでも、扉の際に立つ人たちは、身動きすらしてくれない。
「…すみません。降ります」
まったく、人見知りの自分には、なかなか勇気のいる壁である。
ようやくホームに足をつけることができた自分は、改札へのんびりと向かった。
「華さん」
居た。
どうやら、待たせてしまったようだ。
慌てて、改札を抜ける。