内実コンブリオ

あんなに仲が良かったのに。

何かあったのだろうか。

栗山くんが自分の席に戻ろうとこちらに近づいてきた時、たまたま栗山くんの太股辺りがぶつかり、自分の机が揺れた。

その拍子に消しゴムがころりん。

すると栗山くんは、素早く消しゴムを拾い上げた。

さすが野球部というところか。



「ごめんな!」



林檎の様に必死な顔をしている。



「あ…ありがとうござい、ます」



思わず自分まで顔が赤くなる。そして、急ぐ様に自分の後ろへ座る。

やっぱり嫌われているのかな。

でも、今学期はじめてしゃべることができた。

なぜ自分はこんなことを考えているのか。

なぜ気持ちがこんなにふわふわしているのか、不思議な気分だった。

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