内実コンブリオ
後ろで席についた栗山くんと田中秋斗って人の会話が、聞く気は無かったけど耳に入った。



「栗山さー、あんなんのわざわざ拾うことなくね?呪いつくぜ」

「お前っ、あれは完全に俺が落としたんだ。拾って当然だろ。つか、呪いとかねーし。失礼なこと言うんじゃねーよ」



お二人さん、会話が丸聞こえですよ。

でも、やっぱり栗山くんっていい人だ。

他の男子とは大違いだと思う。



「それに…こ、好感度上げてぇじゃん?」

「あ?んでだよ」

「す…かわいいじゃん」

「…あー、なるほどな」

「何がなるほどだよ。なんか腹立つな!」



栗山くーん。小さく話してるけど、全ては丸聞こえです。

しかもわかりやすい。

てか、気持ち悪っ。

なんて悪質な嫌がらせ。

恥ずかしくて、たまらない。

あー、お腹すいた。

早く昼休みになんないかな。

って、言ってもどうせ弁当は食べれなくなってるけど。





4限目も終わって、お弁当の時間。

弁当を開けば、砂のふりかけがかかっている。

なんて典型的。

自分、1限目と2限目の間の休み時間にトイレに動いただけなのに。

ある意味神業だ。

しょうがない。

晩ごはんまで我慢しよう。
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