内実コンブリオ
3年生が始まってすぐのあの衝撃の日からあの2人は、かなりの頻度で一緒にいる。
話しを聞けば、休日も一緒に過ごしているというじゃない。
「昨日、2人でお昼食べに行ったんだけどー。この人『かけうどん』って頼んだら『カレーうどん』が出てきたのー!」
「なにそれうけるっ!」
「でしょー!」
「うるせー」
「この人案外声小さいのー!」
「えー、以外っ!聞いたことないっ!!」
…自分はありますけど。
休日もしっかり2人でいるんですよアピールをしている。
幸せそうで何より。
「でぇ、毎日メールと夜は電話しててぇ。そしたら、この人ねー」
あー、そうよかったですねー。
あれ、自分すごい嫌な奴みたい。
周りには聞こえてないだろうけど、自分には聞こえるから嫌だ。
何を言っているんだろう。
とにかく今の自分が、自分で嫌だ。
ある日の放課後。
日直の1日の最後の仕事、教室掃除をしているところ。
本当はもう1人いるけど、もちろん帰ってしまっていない。
一人でさっさと掃除を終わらせて廊下で日誌をつけていると、どこからか男女の話し声が響いてきた。
その声の主たちは、3年生になって、栗山くんとつるみだした田中秋斗と別のクラスの女子らしい。
そして、その会話は嫌でも入ってくるというのが、人間特有の今はある意味症状。
今聞きたくない話題が耳から入って、心に突き刺さる。