内実コンブリオ
「なぁ、秋斗。栗山の好きな子って、結局誰なん?」

「は?お前知らんの?」

「だって、うち風邪ひいて、一週間休んどったんやで!そんなん知るわけないやん!しかも今付き合っとるって聞いたん!
で、誰なん、相手!」

「あいて、は、結菜ちゃん」

「なんで『は、』て強調すんの?!はっきりせい!」

「だから、相手は咲宮 結菜ちゃん。お前が『好きな子は?』て聞くからやろが」

「なにそれ…じゃあ栗山は、好きでもない子と付き合っとるみたいやん」



頭いいな、あの女の子。

すぐにそんな結論が出せるなんて。

そういうことに変換することができるのか。

納得していると、再び廊下にけだるそうに低い声が響く。



「まぁ、ある意味、その通りやな」

「はぁ?!」



自分も内心では、その女子と同じ反応をしていた。



「最後まで聞かんとはやとちりする結菜ちゃんが悪い」

「どういう事なん?」

「栗山が結菜ちゃんに告られて、答えた返事は『悪いけど、1年ん時から俺が好きなのは、咲宮―』なんだよ」

「え、結菜ちゃんのことじゃなくて?」

「おう、違う」



日誌を書きながら聞いていると頭が混乱してくる。

阻止しようとしても、耳と頭は聞き逃すまいと音を手繰りよせた。

あんなにも幸福そうなのに、違うの…?
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