内実コンブリオ
風薫る季節も過ぎ、次第に暑くなる。
着ているポロシャツに汗がにじむ程になってきた。
また、夏が来る………
はずだったのかもしれない。
今の自分の心は冬だ。
自分の心はひどくすさんでいる。
なんか心なしか心だけでなく、本当に寒い気がする。
そりゃ、すさみたくもなるってもんですよ!
人気の無い階段の踊り場で女子に囲まれたら。
一体今度は何ですか。
今までのは心の声。
現実は恐いからずっと黙っている。
「あんたさー。結菜らのこと毎日、ジロジロ見んのやめろよ。気味悪ィ!!」
「結菜が嫌いなんか知らんけど、なんかあるんやったら、その付いとる口で言えよ!」
やたら声も図体もでっかい女子の後ろで結菜ちゃんが泣いているフリをしている。
わかりやすい嘘泣きだ。
仲間の女子たちはグルでやっているのか、騙されてやっているのか。
どっちにしろ、馬鹿には違いない。
「黙っとらんとさー」
「嫌いでは…ないです」
「うっせー!」
いやいや、何か言えって言われたから言ったのに。
次の瞬間、ドンッと自分の体から鈍い音が鳴ったと思えば、宙に浮いていた。