内実コンブリオ

しかし、突き飛ばされ慣れていた自分は、あたかも何事もなかったかの様に、階段の1階分くらい下で両足をついた。

冷静に考えてみれば、漫画みたいだ。

意外と凄いのかも、自分って。



「別にあんたらは見てません。自意識過剰が過ぎるんちゃいますか?」



出た。自分の特技の一つ、人を苛立たせること。

この一言で、みんな役目が終わった劇員の様に次々と立ち去っていく。

それぞれの顔を見ていれば、自分のことを鬱陶しそうに睨んでいる。

数えてザッと7、8人か。少ない方だな。

一番最後に去ろうとした結菜ちゃんはピタッと立ち止まり、上から自分を見下げた。



「そんなんやから、友達できやんのやわ」



意味がわからん。

でも、めったに感情的にならない自分が少しムカついた。

少し悔しい。

しかし、あんなにも仲の良かった元幼なじみに言われたということもあり、悲しくなった。

昼休みだったので、いろんなものでぐちゃぐちゃになった苛立ちを解消すべく、中庭で和もうと歩き出したその時。

ビキィッ!

音に例えると、そんな痛みがはしった。

右足が痛い。

どうやら突き飛ばされて着地した時に捻ってしまったらしい。

でも、いつものこと。

無理矢理動かしておけば治るだろうと、そのまま中庭へ向かった。
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