内実コンブリオ



昼間はあんなに晴れていたのに、夕方になって土砂降りになりだした。

さらに、雨で傷口…ではないけれど、右足の痛みが増した気がする。

治るだろうとあれから放っておいたものの、痛みは増すばかり。

部活も終わり、帰ろうと駐輪場へ行こうとしたけれど、足が動かない。

今さら気づいたけど、右足首の関節が本当に動かない。





なんとか必死こいて、美術室のある4階から1階まで下りてこれた。

が、どうしよう。こんな調子で自転車こいでなんて帰れるのか…?

不安になってきた。

誰もいないけど、なるべく平気なのを装い、真っすぐの廊下を歩いた。



「咲宮 華さん」



誰やの!人が必死こいてる時に!!



「咲宮 華さんっ!」



その声は聞いたことのある声。

まさか、栗山くん…?

ゆっくり振り向いた。
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