内実コンブリオ
「…あん時から、やっぱ俺の気持ちは変わんねぇっす」
嘘でも愛人か何かにでもなれと?
それはいくらなんでも気持ち悪すぎる。
あの時といえば、「付き合ってください」だったはず。
それ以外は何も聞いていない。
「もう一度だけ言わせてください。んで、今度はちゃんと返事、いつでもいいんで聞かせてください」
そんなの決まってる。
返事は無理に決まってるじゃない。
彼女さんだっているのに。
「す、す…………」
「す?」
「すきです…」
それははじめて聞いた。
もう一度だけ、って言ったくせに。
栗山くんはとても真剣な表情をみせて、そして目線も真っすぐこちらを見ている。
そんなわけはないのに、はじめて目が合った気がした。
恥ずかしくて、頭が真っ白だ。
どうしよう。このままだと出てしまう。
逃避という名の態度が。
「いい加減、か…からかうのはよしてください。あんなにかわいい彼女さんだっているくせに」
「とりあえず、答えてください。俺が本当に好きなのは…さ…華さんっす」
「おもしろい冗談を…」
でも、笑えない。
必死にごまかそうとしてみる。
「冗談じゃないっす!本気っす!!…どうして、いっつもいっつも、逃げようとするんすか…!」
「じゃあどうして、栗山くんだって、結菜ちゃんと付き合ってるくせにそんなこと言うの?!」
あ、叫んでしまった。
つい感情的になってしまって。