内実コンブリオ
「1回目に言った時には、付き合ってなかったっす」
「申し訳ないけど、自分はそれは言われたことすら知らない」
「……結菜、咲宮 華さんとの思い出話、語ってくれるんすよ。めっちゃ楽しそうに。咲宮 華さんとの馬鹿話とか」
「な…」
「こんだけ明るいかわいい奴だから、咲宮 華さんのこと、忘れられるかなと思ったんすけど。…無理っす、やっぱり」
「結菜ちゃんのことは…?」
「一生、同級生、て感じすかね」
「…最低」
それ以上黙りこくってしまった彼が当ててくれている氷の袋の手をそっとどけて、出口へ向かう。
「手当してくれて、ありがとう。大分楽になりました」
そう言って、保健室を一人出た。
一人保健室に残された栗山くんを想像しては、胸が痛んだ。