内実コンブリオ
「…最低」
ああ、あんな事言うつもりは無かったのに…
これでもう一生栗山くんには、関われない。
でも、本心だったのかもしれない。
一人にうじうじするなんて、自分らしくない。
別のことを考えよう。
そうだ。今日こそ本を読もう。
そう思い、本をひろげた瞬間。
チッ。
誰かの舌打ちがすぐ近くで聞こえた。
そして、言葉も。
「お前どんなけ腐っとんねん」
ばっと勢いよく顔を上げると、見えたのは田中秋斗の後ろ姿だった。
そんなのもう知らない。
今度こそ感情だなんて持たない。
この日をさかいに自分は、本物の蝋人形を目指した。