内実コンブリオ



本日も凛と参りましょう。

そう、くじけずに凛と…



「咲宮さん、これやり直して。こんなんじゃあかんわ」

「すいっ…」



ああ、変わらないと。



「…頑張ります」

「うん、頑張って?」

「はい…!」



何だか不思議な変化に気付きはじめたのは、つい最近。

女性の先輩方についてだ。

自分に向かってくる笑顔が増えた、ということだ。

最初は、気味が悪いなとか思っていた。



「悪いけど、今日あたし早退なんやんか。やから、過去の書類処分、頼んでもいい?」

「わかりました」

「頼むわ」

「はい」



疑っていた。

でも、先輩方は善良そのもので、失礼なのは自分の態度の方だと気付く。

本当はこんなにも優しい人達だったのに。

昔から人の第一印象を悪く見てしまう。

これが自分のいけないところなのかもしれない。

そして、もう一つ。



『頑張ります』



角野先輩と約束したこの言葉を使い出す様になってから。

言葉には言霊がついている、というけれど、本当にそのパワーなのか。

「すいません」という弱気に聞こえるその響きからの「頑張ります」はすごい力を持っている。

決して、力強いとは言い難い言葉だけど、「すいません」と「頑張ります」では、自分自身の気持ちの持ち様まで変わった気分だ。

そして、その言葉の力は自分から溢れ出して、周りに影響が広がっていく。

自分の思い込みが、目に見える気がした。

確実なんかじゃないけれど。

さて、昼からは書庫に篭るとするかな。
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