内実コンブリオ
「…し、仕事しとるん?」
「あ?俺のことまだ馬鹿にすんのか」
馬鹿にする?
自分が水川を…?
違う。馬鹿にされ続けたのは、自分の方だ、馬鹿。
「…馬鹿にしたことなんて、一度も、ない」
「絶対嘘やん。お前、昔っから俺のこと冷めた目で見て、今もそんなこと平気な面してぬかしやがって…!」
「…違うし」
何、昔からって。
なんで怒鳴られなければならないの。
こいつなんかの為に勇気を振り絞って、一歩踏み出して変わってやろうとしたのに。
内心は強気だったけど、表には出て来ようとはしてくれない。
自分の声なのに、喉なのに、まるで他人の物であるかの様に上手く使えない。
今にも消え入ってしまいそうだ。
おまけに全身がガクガク震えてどうしようもない。
なんて情けない。