内実コンブリオ
つまり、友達がいないらしい。

それなら、むしろチャンスはいっぱいある。

一人で寂しい時に、上手く、優しく接すれば、気をひくこともできる。

さらには、友達が居ないなら、どこかに連れ出して、2人で話しが出来るまでになったら、なおいい。

妄想を悶々と繰り広げていると、横から邪魔をしてくる奴がいる。



「しっかし、あいつ、いつも1人だよなー。友達いねーとか悲しい奴。いっちょいじってくっか!」



しまった。

ひそかに咲宮さんへ視線を送っていたことがばれたか?



「は?!ちょ、お前、待っ…」



慌てて止めようとするもののそれも敵わず、光の速さで水川は行ってしまった。

お前はそれで気ぃ使ってんのかもしんねーけど、やめろよ。

お前がからかう度、咲宮さんが笑い者になってんだろ。

やめろよ。

その子何も悪い事してねーだろ。

ちょっと走るのが遅いだけじゃねーか。

やめろよ…!

もちろん、小心者の俺は本人に向かって言うことは出来ずに、結局1日が終わった。

俺は本当に勝手だ。

あの水川のからかいと周りの人間の笑い声に耐える辛そうな顔が、ずっと頭から消えなかった。
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