内実コンブリオ


「そう」



自分でも気付かんうちにそれだけを冷たく、呟く様に言っていた。

うわ、俺って意外と傷付きやすいんやな。

はじめて知った。

でも、こう言ったのには自分自身の声に少しでも意味があるんやと思う。

きっと何か返してくれることを期待して、とか。

そして、そこへ返ってきた言葉はこうやった。



「はい」



言葉といえるかもようわからん反応を返してきた。

しかも、微笑んでくる。

またそんな風に笑いよって。

弱っとるんやったら、無理して笑うなよ。

やっぱり何かあるんやん。

俺のことなん?

自分自身に悩んどるんか?

それとも俺の知らん他の誰かなん?

苛立ちなんかようわからんけど、何ともいえやん気分からか顔がひきつって上手く笑えやん。

本当にあかん。

ええ歳こいて、こういう女の子絡みは意外と精神脆いわ、俺。

言いたいことは山ほどあるけど、華ちゃん自身にいろいろわかってほしいことがあるから、あえて黙っておくことにする。


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