内実コンブリオ
職員用の裏扉を開けると、冷たい風が吹いていた。
「天気はいいのにな…」
秋独特のあれだ。
風がなければ暖かいのに、というやつだ。
今日の風はなんだか冷たいうえに少し強い。
でも、日なたにいればそれ程問題はなさそうだ。
ベンチを見つけると、先客がいた。
残念だけど他を探すか、そんな気分にはなれなかった。
そのベンチに座っていたのは、今会うには気まずくてしょうがない角野先輩がいたのだ。
先輩はただ何をするでもなく、ベンチに腕、足を組んで座っていた。
何をしているのだろう。
そうは思ったのだが、だからどうしようとは頭が考えようとはしない。
少し動揺しているから。
しばらく止まったままでいた自分は意を決して前に進んでいた。
恐くないのか、と聞かれれば思いっきり嘘になる。
先輩に話しかけたことで、弁当が食べれなくなってもこの際、構わない。
ただ一言謝っておきたい、それだけなのだ。