友達になれなくて
部屋に戻っても
私の期待には
やっぱりこたえてくれなくて。


でも楽しげな音楽は途切れなくて。



楽しい音楽なはずなのに…


すごく胸が痛いや?





門倉は



私がそこにいない事に
気付いてくれてるかな…




気付いててほしいな。



恭子ちゃん
告白しちゃうのかな。




こんなとこでもがいてないで
無理してでもキャンプファイヤーに
参加していれば良かったと、
今さら後悔していた。





「梓ー、どう?体調良くなった?」


暫くして声をかけてくれたのは
やっぱり舞花だった。



寝ちゃってたんだな。


重かった体を起こすと
心は重いままだけど
体はさっきよりも楽になっていた。



「先生が肝試し大会するって
張り切ってるよー!
体調良くなったなら行こうよ。」



肝試し…大会。


うわ〜、そういうの無理だわ。



引きつっている私を気にもせず


「顔色良さそうだね!ほら行くよ」

舞花に腕を引っ張られて
なんとなく参加することになってしまった。




バンガローから少し離れたところに
木が茂っている場所があり


森の中に入る前から
すでに何か嫌な気配がしてならない。


ホントに心霊系は苦手で…
怖くて仕方ないんだよね。


あーぁ、やだ。

部屋に戻りたい。
それなのに
順番が着々と迫ってきてるよ。

さっきまで後ろの方だったのに
もう、先生のルール説明が聞こえてしまう距離まで来ていた。


「部屋の割り振りどおり
2人1組だぞ、前のグループが進んでから
5分後にスタートだ」

スタート前から黄色い声で騒ぐ子や
怪談話に花を咲かせる子などいる中

突然、肩を叩かれる

私は声を出せる余裕もなく
その場に耳を塞いでしゃがみこんだ。


「…なぁ、」

「…おい!」



恐る恐る目を開けると
目の前に仁王立ちした門倉がいた。

私は
今の一瞬の出来事が何もなかったかのように
すぐさま立ち上がった。


「そんな怖いんなら、入口はいったら
こっちから見えないくらいの場所で
待ってろよ。
俺たち次の順番だから
そこで合流すりゃぁいいじゃん」


『べ、別に怖くないし!』

しゃがみこんだ恥ずかしさと
さっきまでの期待はずれのせいで
なんとなく強がってしまった。


あーぁ、またやっちゃった。


素直になれないから、いつも後悔する。
もっと可愛いこと言えればいいのに。

恭子ちゃんみたいに…。



どうせ

(あっそ、じゃぁいい。)
とか、言うんでしょ?


自分の、あまのじゃくさに
少し嫌気がさした。






「いいから、待ってろ!」







…え?


今、なんて?





そのまま突き飛ばされるように
背中を押され
私達の順番へとなった。




聞き間違えじゃないよね?


待ってろ。
て、言ってくれたよね?




さっきまでの期待はことごとく外されて
イライラしてたのに

今の予想の外し方には
ほんわか。した気持ちになった。

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