マリンシュガーブルー

「ドレッシングは美味しいけれど、子供には酸味が強すぎる――。なるほどね」

「大人受けはいいと思うんだけれどな。俺、店を始めて知ったけれど、奥様達のランチ会てけっこう多いし、有り難い。やっぱ無視できないよな」

「こられたお客様のお話を聞いていると、幼稚園のママさんが多いみたい。行事の手伝いとかで園に集まったりするでしょう。茶話会とかいうのがあるみたい。口コミで次から次へとお客様を連れてきてくれるけれど、一度、評判を落とすと客足遠のいて取り戻すのは厳しいと思う」

 だから無視しないで、真剣に検討しよう。宗佑を宥めると、彼も本気になってくれる。

「もっと口当たりのいいドレッシング、考えてみる」
「そうだね。常連様も飽きが来なくていいと思うよ」

 そうして弟が夏向けも考慮して新作のドレッシングを考案。

 この『Dining cafe Marina』(ダイニングカフェ マリーナ)の売りは、魚介系ランチと小さなサラダバー。それをセットにしている。ディナーは洋食系が多く、セットも同様に。

 そのサラダバーに置いているドレッシングは、今のところワインビネガーとオイルのもの。ワインレッドのビネガーとオイルの二層に別れているドレッシングボトルを各テーブルに、味付けは胡椒と瀬戸内の塩をお好みで。

 シンプルなドレッシングは奥様達に好評だった。だがこれ、確かに酸味が強い、大人の味と言えたかもしれない。

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