マリンシュガーブルー
14.特上マリンシュガー
 翌日の正午。美鈴はフェリーの港にいた。

 残暑の蒸し暑さの中、青いストライプのブラウスと白いパンツ姿で空を見上げる。

 来週、松山に行くよ。
 昨夜の彼の言葉を胸に、また海を隔てて育った港町に帰る。

 フェリーが港から離岸する。彼は見送りには来ていない。今日も暑い中、彼は犯罪を追っている。

 昨夜、抱き合った後に彼がなにもかも教えてくれた。

 突入してきた警察官から、何故、逃げたのか。その理由ももう話してもらえていた。愛媛県警の突入だったが、銃声が聞こえたため、早く来るよう県警に手配してくれたのは、男達を監視していた尊だった。

 あのヤクザ達は、借金で首が回らなくなった民間人をターゲットにして福岡から運び屋をさせていたという。九州からのフェリー、広島からのフェリーも着岸する松山が中継として使われた。

 広島ではなく、フェリーで愛媛に来て、港町でやりとりをしているという情報の裏付けに、相棒の刑事と一緒に尊は奔走していたという。この港町のあちこちの店に出入りしていることを確認。どの店で取引が行われるのか、見定めていたとのことだった。
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