マリンシュガーブルー
その数日後、生理が来た。
終わったかも。私の恋。一瞬の恋。
夏の遅い日暮れ。ディナータイムのお客様でフロアが賑わっている最中、美鈴は店の外に出て入口ドアの照明をつける。そっと港へと振り返る。あの人を追った道。
港の夕凪を見つめて、美鈴の中に襲ってくるむなしさ。
エプロンの上から下腹を静かに撫でる。ここにもし、彼との子ができていたら……。会えた気がしたのに。
あの人はもしかすると、近くにいるくせに遠くから美鈴とこの店を眺めて、美鈴になにもなければそのまま去っていってしまうのかも。
信じていると言っておいて、やっぱり不安。彼と離れてもうすぐ一ヶ月。美鈴は初めて涙を流していた。