マリンシュガーブルー
「突然に訪ねまして申し訳ありません。少々急ぐことがありまして、不躾に参りましたことお詫びいたします」
「いいえ。こんな夜遅くお客様が引くまでお待ちくださったようで、かえってお気遣いさせてしまいました」
すると、彼女が嬉しそうに笑う。
「まあ、どのような方かと思っていましたけれど。もう良くわかりました」
「あの、なんのことでしょう?」
美鈴がきょとんとしていると、涼やかな紗の着物の彼女が笑いを収め、今度は真剣な目つきに変わり、美鈴の目の前に一枚の写真を差し出した。
「こちらの男性に覚えはありますか」
この男性が着物の彼女が探している人?
そこに凛々しい警察官制服姿の男性が写っていた。その隣には着物姿の彼女が、男の腕に甘えるようにして寄り添っている。
でも見覚えがない。品の良い彼女と同じように清廉そうな男前フェイスの人。あの人もこんな男らしい顔で、黒い瞳で……。そこで美鈴は、ゆっくりと目を瞠る。
弟が醤油屋アイスとアイスティーを持って席にやってきた。
彼女の傍らに置くと、弟にも彼女は問う。
「店長さんもいかがですか。この男性がこちらに通っていませんでしたか」
「おさがしの方ですか」
宗佑もその写真を覗き込んだ。しばらく眺めて後、彼も気がついた。
「あの人? まさか」
警官制服姿の彼を知り、宗佑は力が抜けたようにして美鈴の隣の椅子にへたりこんだ。
「いいえ。こんな夜遅くお客様が引くまでお待ちくださったようで、かえってお気遣いさせてしまいました」
すると、彼女が嬉しそうに笑う。
「まあ、どのような方かと思っていましたけれど。もう良くわかりました」
「あの、なんのことでしょう?」
美鈴がきょとんとしていると、涼やかな紗の着物の彼女が笑いを収め、今度は真剣な目つきに変わり、美鈴の目の前に一枚の写真を差し出した。
「こちらの男性に覚えはありますか」
この男性が着物の彼女が探している人?
そこに凛々しい警察官制服姿の男性が写っていた。その隣には着物姿の彼女が、男の腕に甘えるようにして寄り添っている。
でも見覚えがない。品の良い彼女と同じように清廉そうな男前フェイスの人。あの人もこんな男らしい顔で、黒い瞳で……。そこで美鈴は、ゆっくりと目を瞠る。
弟が醤油屋アイスとアイスティーを持って席にやってきた。
彼女の傍らに置くと、弟にも彼女は問う。
「店長さんもいかがですか。この男性がこちらに通っていませんでしたか」
「おさがしの方ですか」
宗佑もその写真を覗き込んだ。しばらく眺めて後、彼も気がついた。
「あの人? まさか」
警官制服姿の彼を知り、宗佑は力が抜けたようにして美鈴の隣の椅子にへたりこんだ。