マリンシュガーブルー
11.責任あるとはなんですか
 彼女もほっとしたのか肩の力を抜いて溜め息を落とした。

「よかった。やっと見つかりました」

 見つかった? どうしてお兄さんの何を探していたのだろうと、宗佑と一緒に美鈴は首を傾げる。
 彼女がまた美鈴を見た。

「兄が、珍しく私に。『責任あるつきあいをしようと思っている』と知らせに来てくれたんです」
「お兄さんが、姉のことを、ということですか!」

 あの人が警官だった。その人が姉のことを忘れずに、家族に紹介したいと真剣に考えてくれていた。宗佑が一気に喜びを見せた。

 だが香江の表情も一変する。今度は打って変わって厳しい眼差しだった。

「責任あるとはなんですか」

 彼女が美鈴に問う。責任あるものがなんなのか、美鈴にはすぐにわかった。彼となにも隔てずにそのまま愛しあったこと。美鈴のなかに彼の子供が出来たかもしれないことだと思った。

 香江もそれがわかっていたようだった。だから美鈴のお腹へと視線が落ちた。

「お腹にいたとしても、まだ目立たない時期ですよね。でも、そうであるならば、もうそろそろ……貴女には変化があるでしょう」
「だとして、どうだとおっしゃりたいのですか」
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