マリンシュガーブルー
12.寅ちゃんはどこ?
その人は、夏の夕、薄紫に空が暗くなるころ、姿を見せた。
広島市内、閑静な住宅地にある綺麗なマンション。夕闇に紛れるようにマンションの自動ドアへと向かっていく。
「尊さん」
女の声に男が歩く足を止めた。そのまま、じっと立ち止まっている。しばらくして、ゆっくりと彼が振り返った。
濃紺のシックなワンピース姿でそこにいる美鈴へと視線が止まる。
「え、え、? ど、どうして?」
目をまん丸に見開いている彼が唖然としている。
きっと絶対にばれない、彼女がここを知るはずもないと思っていたのだろう。
そして彼はさらに気がついた。
「と、と、いうことは、俺が……、実は……」
驚愕がやまぬ彼に、美鈴から告げる。
「富樫 尊さん 広島県警の警部補で刑事さん」
ヤクザと銃撃を交えた冷徹で厳つい男が『うそだ、なんでだ、どうしてだ』とあからさまに慌て挙動不審になっている。
広島市内、閑静な住宅地にある綺麗なマンション。夕闇に紛れるようにマンションの自動ドアへと向かっていく。
「尊さん」
女の声に男が歩く足を止めた。そのまま、じっと立ち止まっている。しばらくして、ゆっくりと彼が振り返った。
濃紺のシックなワンピース姿でそこにいる美鈴へと視線が止まる。
「え、え、? ど、どうして?」
目をまん丸に見開いている彼が唖然としている。
きっと絶対にばれない、彼女がここを知るはずもないと思っていたのだろう。
そして彼はさらに気がついた。
「と、と、いうことは、俺が……、実は……」
驚愕がやまぬ彼に、美鈴から告げる。
「富樫 尊さん 広島県警の警部補で刑事さん」
ヤクザと銃撃を交えた冷徹で厳つい男が『うそだ、なんでだ、どうしてだ』とあからさまに慌て挙動不審になっている。